前回からの続きで
感染症に対する葬儀屋さんの「自衛」方法についてです。

私の勤める葬儀社では
A型肝炎
B型肝炎
の予防接種が義務づけられており、
インフルエンザの予防接種に関しては補助金がでる
っていう仕組みになってます。

それに加えて
・遺体に触れるときの手袋の着用
(ただしご遺族の手前、医療用の無骨なラバー製ではなく、布の裏側がラバーコーティングされているものを使用しています)
・バンドエイドの常時携帯
・ささくれ(さかむけ)防止のため指先にスクワランオイルを塗る
・医療用保護クリームの使用
・アルコール系殺菌剤の常時携帯
・手洗い・うがい
ってことをやってます。

これらの対策は、当然重要です。
でもまだまだ衛生意識が低い葬儀屋さんが多いような気がします。

例えば病院の出入りの葬儀社さんで手袋をはめていない人をよく見かけます。

葬儀会館の霊安室の衛生管理もずさんです。
いろいろな御遺体を安置しているわけですから、御安置の度毎に、
清掃だけではなく、殺菌消毒をする必要があると思います。
しかし実際にそこまでやっている葬儀社は全体の1%に満たないのではないでしょうか。

エンバーミングを行えば感染症の場合でも衛生度は
かなり改善されるようですが、まだ普及率は日本全体の2%ほどです。
以前記事に書いたように(参照ページ:エンバーミングは日本に定着するか
一般的な普及は難しいと思います。

葬儀屋さんに就職を希望する方は
その葬儀屋さんの衛生管理に着目するのも良いかもしれません。

大体、衛生管理がダメな葬儀社って、従業員も大切にしないので。

あと一般の方の誤解例としては
おくりびとの粋ではない批評でも述べましたが、
納棺士が素手で遺体に触りすぎです。
(映像上しかたなかったのかもしれませんが・・・)
故人の死因を確認しているとも思えません。
だから広末の「さわらないで、けがわしい!」発言は医学的には正解。

「モーニン」という葬儀社を舞台にした漫画のなかでも、
葬儀屋さんが手袋を外して遺体に触れることが
感動的なエピソードとして描かれています。
これもヘンというか、安っぽいヒューマニズムというか。


と、いろいろ感染症の危険性について書き連ねましたが
一方で過剰に怖がりすぎるのも良くないのかなと思います。

自分がまだ駆け出しのころ、
故人がハンセン病患者であると知り、かなり動揺した記憶があります。
そして文献を調べてみて自分の無知を深く恥じました。

昨日の日経新聞で瀬名秀明氏が寺田寅彦氏の
「適切に恐れる」
という言葉を引用し、
インフルエンザに対する過剰反応と軽視を戒(いまし)めていました。

できるだけ正しい知識を持つことと
バランス感覚が重要ってことですよね。


<2009年11月11日>記載