最近こんな記事を目にしました。

(フューネラルビジネス2009年11月号T社管理職のインタビューより引用開始)
「最近は、無宗教で葬儀をやりたい、
自宅で少人数でやるので社名の入ったトラックは使うな、
通夜にスタッフはいらないなど、本当にいろいろなニーズが出てきています」
と語る。

こうした場合従来にはなかった要望に対し、柔軟に対応できるよう施行マニュアルがあれば便利だが、同社では作っていないという。
「マニュアルがあると、
それにないサービスをするとき上司の許可を求めなければなりません。
スピードが勝負の葬儀施行にあって、いちいち上司の許可を求めていては、
サービス提供のチャンスを逃してしまい、
マニュアルを超えたそのときに応じた良質なサービスができなくなります」
(引用終わり)

こういうことを言う葬儀屋さんはまだまだたくさんいると思います。

でもこれ違うと思います。

瞬間的に決断することと、マニュアルを作ることは
相反しません。


マニュアル

以前こんな記事を書きました
葬儀屋の業務にマニュアルは絶対必要

「葬儀では必ず
既存の知識や経験では通用しない部分がおこるからこそ、
逆にナレッジマネージメントの一環としてマニュアルの作成が必要になる
と思います。

パレートの法則ではないですが、
葬儀担当者の業務の8割はマニュアル化が可能
です。
そしてその上で絶対にマニュアルでは処理できない2割の部分がでてきます。
その2割の部分を、余裕を持って処理するためには
8割の部分を出来るだけ効率的にこなす必要があります。
そのためにマニュアルが必要なのです。」

創造性の極致の一つである交響曲を作る場合でも、
作曲家は思いつくまま作曲するわけではありません。
(無地の五線譜に楽譜が浮き出て見えた、というモーツァルトは別として)

ちゃんとコード理論というマニュアルに基づいて構築的にスコアを書いていかないと、
何十分にも及ぶ楽曲を作るのは難しい
(って、偉そうに言ってますけど私は作曲したことはないんですけどね)
それでも創造的でオリジナリティがあって人々の魂に響くものができあがります。

サービス業界で、現場への権限委譲で有名なのはリッツカールトンだと思います。

しかしこれも20万円までは従業員の決済で使えるという数値化された「マニュアル」が存在するから機能するのではないでしょうか。

これが「ケースに応じて従業員の判断で、ほどほどの金額を使って良い」
ということなら、きっとその都度、どのくらいまで許されるのかってことを、
従業員は判断することになり、余計なエネルギーを使わねばならないでしょう。

必ずお客様へのサービスへの障害になってしまうと思います
ホテルマン

そもそも
「社名の入ったトラックは使わない」
「通夜にスタッフはいらない」
このような運用規定に関しては十分マニュアル化できるはずです。
もちろん例外はあると思いますけど、
その場合は上司に電話一本で許可を取ればいいだけです。
(さらにその上の上司に回して、さらに決済のハンコが必要・・・なんて企業規模の
葬儀社はほとんど存在しないでしょう)
3分で済む話しですし、機会損失にはならないと思います。

そもそも葬儀はチームプレイです。
社名入っていないのトラックの空きがあるかどうかは、担当個人ですぐに判断できません。
車両のシフトの問題もありますから都度確認しないといけないのではないでしょうか。

無宗教葬に関しては確かに何をやってもいいわけで、
その分担当者の創造性が試されます。
しかしだからといって、その都度 遺族の打合せの場で一から考えていっては間に合いません。
(参照ページ:無宗教の演出について
お客様の望んでいるものを感じ取って、いくつかの提案をこちらから示しつつ、相手に選んでもらうやり方が多いのではないでしょうか。
私の勤める葬儀社では担当がそれぞれ無宗教葬で行った演出を、
事例集として蓄積したマニュアルがあります。
それを参考にしながら、さらに次の担当の際、発展させていくというやり方です。

斎藤孝さんも応用を効かすにはまず「型」が必要であると指摘しています。
(この話はまた後日)
斉藤孝のホームページ

ところでこの葬儀社さんは、じつは訪問したことのある葬儀社さんなのです。
福岡市内の葬儀社の事前相談体験記 2/3

たしか、壁に5箇条が張ってあって、1番目が確か
「スピード!スピード!スピード!」
だったと思います。
だから、判断にもスピードが必要っていう考え方は分からんでもないんですが・・・

しかしスピードが必要なら、なおさらマニュアルを作成すべきだと思います。

と、ここまで書いて一つの疑念が・・・
私が(事前相談者として)こちらを訪問したとき、
結構な無宗教葬の資料が用意されてましたし、スタッフの発言内容もしっかりしていて好感のもてるものでした。

もしかして、現場レベルでマニュアルが存在するのでは・・・

フューネラルビジネスは同業者が読む雑誌なので、
あえて本当のことを言っていないとしたら・・・
って深読みしすぎですかね(^^;)


<2009年12月30日>記載