前回の記事「競合他社と仕事を取り合ったとき」は
「数万円安かったから、なんていう理由で(あんまり評判の良くない)他社に
持って行かれることも多いんですよね(>_<)」
という文章で閉めました。

質を理由に競合他社に負けることはないのですが、
金額を理由に負ける(他社の方が安い)ことは最近増えてきました。

他社に金額で負けそうなとき、お客様にとって優先順位の低い項目を外したり
商品ランクを下げたりすることはあります。
(例えば10万円の棺をやめて5万円の棺にしてもらうとか)
でも商品自体の値引きをすることはありません。
そもそも一社員である自分に値引きの権限は与えられていません。

適正な原価計算に基づいたプライシング(値付け)をしているので
値引きはしないし、そもそもできない
という考え方です。

一担当者が、その場で「じゃ、祭壇価格を半額にします」
という葬儀社もいます。
しかし、もし値引きできるんなら最初から安く提示すればいい、
という話ですし、
もし目の前の仕事が欲しくて無謀な値引きをしているのであれば、
その時は良くても長期的に見れば、自分の首を絞めていると思います。

金

以前 下落し続ける葬儀費用の構造分析
葬儀費用の高価格戦略
という記事を書きました。

自分の勤めている葬儀社はとにかく安くというレベルの価格競争にはつきあわず、
品質をアピールする方針にシフトしました。

当社のサイトではかなり詳細に情報公開をしています。
そして、多分サイト上で他社と金額を比較された段階で、
最安値を探している直葬のお客様には結構逃げられていると思います。

(念のために申し上げると直葬も質で勝負しています。
というより、宗教儀式を行わない直葬の方が、
葬儀社の質が強く反映されると思います。
それが消費者の方に伝わっているかどうかは、若干、心許ないのですが・・・)

サイト上で最安値を探す人に選ばれないということは、
私の目線で逆の言い方をすると
サイトの入口の段階で、顧客を選ぶためにフィルタリングをかけている
ということです。

とにかく誰からのどんな仕事でも受ける、という文化が葬儀業界にはあります。
そして時としてそれが美徳ととらえられることもあります。

しかし
戦略的に顧客セグメント(区分)を絞るのが
成熟した業界のあるべき姿なのではないでしょうか?
例えばホテル業界も顧客セグメントを分けていますよね。
そろそろ葬儀業界もその段階に入りつつあるのではないでしょうか・・・
ってちょっとフライング気味?

もしかすると
いままでさんざん不透明で悪いことしておきながら
急にもっともらしいこと言ってんじゃねぇ
と、業界をひとくくりで見ている方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに今の段階で業界全体のみそぎがすんでいるかは微妙なのですが。

でも
値段だけ安くしとけば・・・
って言う方法論は

「どうせ何を説明しても、値札しか見ないんだろ」
というように、消費者を見下している行為とは言えないでしょうか。

逆に質で選ぶ選択肢を提示するということは
「逃げられるかもしれないリスクを負いながら、消費者を信じる行為」
とは言えないでしょうか。

現状の方向転換に自信満々というわけではもちろんありませんが、
この試みを続けようと思っています。


<2010年06月19日>記載