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葬儀屋さんの仕事と家族と




以前お葬式を担当したことのある御喪家に再度ご不幸が起きたときに
葬儀担当者として御指名いただいたときは、すごく光栄に思う、
という話を何度かしました。

でも、過去に一度、御指名をお断りしたことがあります。

最初にお亡くなりになったのはご主人の方でした。
事故で急死されたのです。
会社でも重要なポジションの方で、大変人望がおありだったらしく、
通夜葬儀の時はもちろんのこと、
御安置中のご自宅への弔問もひっきりなしでした。
マイク

葬儀後、喪主である奥様から度々御相談をうけたまわる機会があり、
墓前で一周忌法要をとりおこなうことになりました。
一周忌の直前に、
奥様からポータブルのマイクとスピーカーセットをお墓に持ってきてほしいと
御依頼がありました。
お寺様の読経の時に使うのだと思って、とりあえず準備をしました。
その時も一周忌にかかわらず、
かつての部下だった方が50人も参列されていまいました。

そして実際にそのマイクを使ったのは、読経が全て終わったあとでした。

私からマイクを受け取ると、奥様が語り出しました。
参列いただいたことに対する御礼、
夫を慕い続けてくれていることに対する御礼のあと

「夫は亡くなるあの日までずっと働き続けていました。
俺がいないと会社は・・・といつも申しておりました。
でも夫が亡くなって1年経った今も、会社は無事続いています。
みなさんには、会社だけでなく、残されてしまう家族のことも是非
考えていただきたいんです。
お願いします」

ああ、スピーカーを用意してまでみんなにこれが言いたかったんだなと
その時理解しました。

後で、息子さんから聞いたのですが、
ご主人が亡くなる前から、奥様は不治の病を患っていたそうです。
「本当なら私が先に死ぬはずだったのに・・・」とつぶやいているのを
お聞きしたことがあります。

そしてその数年後、息子さんから連絡があり
奥様の訃報を、聞かされました。

実はその当時、妻が体調を崩しており、私は会社を長期休暇していました。
たまたま会社に顔を出したときに連絡をもらったので、
病院にかけつけて、ご自宅への御安置までを行いました。
そして、これから打合せという段階で、自分は担当できないことを
息子さんにお伝えしました。
御指名いただいたリピーターの方の依頼をお断りしたことは
あのときだけです。

多分、奥様に出会う前の自分なら、
少し無理をしてでも担当をやったと思います。
でもそれでは、きっと奥様に叱られてしまうと思いました。
そもそも奥様に出会っていなければ
会社に長期休暇を申し出ることもなかったと思います。

息子さんには私の気持ちは伝わったと思います。

葬儀屋のような過酷な職業に就いてる以上
自分がある日突然亡くなることは
十分ありうることだと思います。

その前に愛想を尽かされる可能性も大ですし・・・(>_<)

仕事と家族どちらを取るか
っていう二者択一を論じる以前に
家族にはホスピタリティを発揮できないけど
お客様には発揮できるっていうのはウソっぽくないですか。

この記事をお読みになった葬儀屋さんは
帰りに花を買ってください。

取引先の花屋さんにお花をもらうのは・・・
まあ、今日はよしとしましょう(^^;)











4 件のコメント

  • 私も妻に花束をあげた事はあります

    結婚前は、用も無いのに「赤いバラの花束」

    結婚後は、誕生日に「白いキクの花束」
    結婚記念日も、「白いキクの花束」

    さすがに怒られました

  • そうです、そうです、この記事です(´∀`*)

    共感~、するんです、とっても☆彡

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