このブログは常に葬儀関係の話題限定なのですが
たまには趣味の話を過剰に語らせてください。
今回は読んでいただいている方に置いてけぼりをくらわせてしまう可能性大なので
結論だけお読みいただいても良いです。
ちゃんと葬儀の話になってますので。 
 

この間、転職する同僚のプレゼントにと思い
ボールペンを買いに都内のデパートに。
買い終えてエスカレーターを下りているときにあるスーツが目に入りました。

スーツは大好き。

私はリラックス感のある装いは全く似合わないのですが
一方で装いのベクトルがどんなにフォーマルに振れても成立させることができる、
と自分では自惚(うぬぼ)れています。

休日が夏日でもTシャツ姿などあり得ない。
麻のスーツに麻のネクタイでタイドアップします。
もちろんシャツも麻で。
クリーニングにお金がかかるのが頭痛い、
って言っている段階で無理してるってのがバレバレなんですが。

さてその目についたスーツは
チャコールグレーのフランネル素材にチョークストライプ。
よくあるデザインでは、と思われるかもしれませんが
フランネルにチョークストライプってストライプが悪目立ちしてしまうので
個人的にはずっと二の足を踏んでました。
そのスーツはストライプの幅はせまくて、ストライプの色が地色になじんで
上品な感じが非常に良い。
 
欲しい・・・
 
フラフラって寄って行って裏地のタグを確認すると
あるイタリアのファクトリーブランド。
やはりそれなりの値段がする。
 
イタリアのファクトリーブランドのスーツは何着か持っていますが
それらはすべてアウトレットで買ったもの。
雑誌の撮影に使ったものやバイヤーが試しに買ったサンプルが
季節の変わり目に安く出回るのでそれを購入しています。
でなきゃなかなか定価で買えるもんじゃない。
 
確かにブリオーニやキートンみたいに逆立ちしても買えないってほどの値段じゃない。
でも根が貧乏性だからどうせ買っても大事にしすぎてあんまり着ない、
ってのがオチだろ、
と私の左肩にのった小さいもう一人の私(全身白タイツ着用、背中に羽つき、頭上に輪っかアリ)が
耳元でささやく。
 
いやいやいままで探しててなかなか無かったんじゃないか?
今度の大学の講義にでも着て行けよ、
と私の右肩に乗った小さい私(全身黒タイツ着用、矢印みたいな尻尾あり)がささやく。

うーん、と思っているうちに
女性のショップスタッフ(30歳くらい、セミロング丸顔系、個人的に嫌いじゃない見た目)
がするすると近寄ってくる。
 
 
 「このスーツは○○というブランドで・・・」
「あ、知ってます。社長がブリオーニで社長やってた人に変わったんですよね」
いや、別にうんちくを語りたいのではないのです。
私はある程度基礎的な知識はあるので
一からの説明を省いてくださって良いのですよ
というサインなのです。
言おうと思えば、ブリオーニの元社長の名前が
ウンベルト・アンジェローニだってことも言えたのですが。
 
周りを見渡すと男性社員は誰もいない。
この時点でこのスーツを買うのはあきらめました。
 
なぜなら女性からスーツは買わない主義だから。

あの、男尊女卑だと怒らないでください。
そうじゃないんです。 
女性は下着を男性の店員から買わないでしょ。
たとえその男性のアドバイスが的確だったとしても。
それといっしょです。
 
スーツを試着した時は
鏡に映った自分自身の印象っていうのは当てにしないようにしています。
あくまでそばにいる男性店員のアドバイスに耳を傾けます。
なぜならなかなか自分自身では全体像は把握できないし
スーツは修正を細かく入れてジャストサイズにするものだと思っているので
第三者の的確なアドバイスが頼りなのです。

(余談ですけどファッション誌のスーツ姿のモデルの
半分くらいはサイズがちゃんと合っていない、と思います。
手をポケットに入れたりするポーズは
合っていないサイズをごまかすためだと思う。)
 
そんなわけでメンズスーツを着たことがない女性スタッフのコメントは
申し訳ないけど信用できないのです。
たまに男性ファッション誌に、男性のスーツ姿を丸の内OLが語る、
みたいな企画があるけど
アホかと思う(^^;)

ここまでお読みになった方はうすうす感づいていると思いますが
私は女性にもてないです。
ええ、いいんです。
良くないけど、いいんです。

「ちょっとだけ、羽織ってみますか?」

「あっ、ええ、じゃあ(ごめん、でも買わないんだ)」

あっ、肩のラインはぴったり。
何かいい感じ。
ここが合えば他は微調整でなんとか・・・

その女性スタッフが背伸びしてスーツの肩を合わそうとする仕草が
健気(けなげ)だ・・・

はっ、いかん。

なんと言おうと買わないのだ。

「袖もぴったり。あと、好みですけどウエスト2僂らい詰めます?」
ああ、私もそう思ったよ。
見立ては正しいね、って上から目線だな、俺。

でもなぁ、メンズのスーツを買ったことも着たこともない奴から買うなんて
やっぱり・・・

そのときふとあることに気付きました。

そういや、葬儀業界って、葬儀に身銭を切ったことのない20代、30代の社員に
葬儀という商品を売らせているよなぁ。

一体このスーツ何着分だよ・・・

俺のスーツを買うお金をたどっていくと・・。 

ああ・・・

しょうがない。

「パンツは4.5僂離瀬屮襪妊蓮璽侫ッション」

10分後、少しだけ小首を傾げて微笑むその女性スタッフから
お直し後のスーツの引換券を受け取り、
お店を後にする。

今日は葬儀業界の構造的欺瞞の罪滅ぼしをしただけ。

決して物欲に負けたわけじゃない
そうさ負けたわけじゃない・・・
と、十回くらい自分に言い聞かせて
帰路を急いだのであった。


<2013年11月26日>記載