前回の記事(うちの上司はバカだと思ったら 1/2)の続きです。

今回紹介するのはこの本。
「HARD THINGS」
HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか[Kindle版]

ベン ホロウィッツ 日経BP社 2015-04-17
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多分この本を読んで起業を「あきらめた」人は多いのではないでしょうか。
その理由は後半で。
ちなみに国内の起業系の本で有名なのはこの二冊だと思います。
社長失格[Kindle版]

板倉 雄一郎 日経BP社 2013-08-23
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不格好経営[Kindle版]

南場智子 日本経済新聞出版社 2013-08-02
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こちらもIT系ですね。
おそらくIT系の企業はドッグイヤーなので
短期間に業績がジェットコースターのように上がったり下がったりを繰り返すため
話がおもしろくなるのでしょう。
ちなみに「不格好経営」の中で、起業を誘う相手に「社長失格」を勧める描写があります。
「不格好経営」を読めば南場さんが好きになると思います。
しかし他の2冊と比べるとぬるいというか、まだ本心をさらけ出していないです。
おそらく会社も自分のポジションも継続中だからでしょう。

今回の「HARD THINGS」はアンダーライン(実際はKindleだったのでハイライト)を引くところが多かったのですが
「社長失格」と「不格好経営」はその部分が少なかったです。
各本のおもしろさを上げると
「社長失格」は人間の業の描き方
「不格好経営」はちょっと天然ぽい創業者を支える優秀なスタッフのチーム感
という読み物としてのおもしろさが特徴であるのに対して
「HARD THINGS」は実務ノウハウが満載だったため
アンダーラインが多くなったのでしょう。
とはいえどんなノウハウかというと万能なノウハウなど無いという結論なんですが。

著者はこの本のまとめで
苦闘を愛せ」といいます。
苦闘が具体的に描写されているところを少し長いですが抜粋します。
苦闘とは、そもそもなぜ会社を始めたのだろうと思うこと。
苦闘とは、あなたはなぜ辞めないのかと聞かれ、その答えを自分もわからないこと。
苦闘とは、社員があなたはウソをついていると思い、あなたも彼らがたぶん正しいと思うこと。  
苦闘とは、料理の味がわからなくなること。
苦闘とは、自分自身がCEOであるべきだと思えないこと。
苦闘とは、自分の能力を超えた状況だとわかっていながら、代わりが誰もいないこと。
苦闘とは、全員があなたをろくでなしだと思っているのに、誰もあなたをクビにしないこと。
苦闘とは、自信喪失が自己嫌悪に変わること。
苦闘とは、苦しい話ばかり聞こえて、会話していても相手の声が聞こえないこと。
苦闘とは、痛みが消えてほしいと思うとき。
苦闘とは、不幸である。苦闘とは、気晴らしのために休暇を取って、前より落ち込んでしまうこと。
苦闘とは、多くの人たちに囲まれていながら孤独なこと。苦闘は無慈悲である。  
苦闘とは、破られた約束と壊れた夢がいっぱいの地。
苦闘とは冷汗である。
苦闘とは、はらわたが煮えくり返りすぎて血を吐きそうになること。
苦闘は失敗ではないが、失敗を起こさせる。特にあなたが弱っているときにはそうだ。弱っているときは必ず。

無理ッス。

これじゃぁ起業ってほとんど覚醒剤と一緒じゃないですか。
まぁ大丈夫だろと思って始めたら何度も地獄を見るという。
堀江貴文氏が大企業の社長に比べてスタートアップ系の社長はバカだと言っている理由がよく分かりました。
ただの利口な人間はこの世界には踏み込めないです。
足下は死屍累々で、砂浜の一粒に相当する人だけが成功譚を語る世界。
買収した会社の役員が末期の病気で、義務はないのに金銭援助したあと著者はこう語ります。
「なぜあのとき助けたのかはわからない。おそらく(自分が)本当の絶望を知っていたからだろう」
の一文は泣けます。

ここまでではないにしろ、
独立して葬儀社を立ちあげた知り合い達もこういう気持ちを少しは味わったのだろうか。
自分には無理。
悩み

さて前置きがすごく長くなってしまいましたが
前回の記事の続きです。
自分の上司の悪口を言っている葬儀社社員の方へ。
この本では社長が従業員とできるだけ面談することを勧めています。
その時従業員に聞くべき事項がこれ。
個人面談で役に立つ質問の例をいくつか挙げてみよう。
■われわれがやり方を改善するとしたらどんな点をどうすればよいと思う?
■われわれの組織で最大の問題は何だと思う? またその理由は?
■この職場で働く上で一番不愉快な点は?
■この会社で一番頑張って貢献しているのは誰だと思う? 誰を一番尊敬する?
■きみが私だとしたら、どんな改革をしたい?
■われわれの製品で一番気に入らない点は?
■われわれがチャンスを逃しているとしたら、それはどんな点だろう?
■われわれが本来やっていなければならないのに、やっていないのはどんなことだろう? 

すべて「自分の意見」が言えるでしょうか?
これらが言えるまで考え抜いた人だけが上司をバカだと言う権利があるとおもうんですけど
どうでしょうか?


<2017年01月15日>記載