経営者のための雑誌「経済界」2017年 2/21号のテーマは
「人生の終い方 葬儀ビジネス・終活最前線」
というわけで買ってみました。
葬儀業界人にインタビューと言っても一人1ページ分の割り当てなので、ほとんどの方は凡庸な内容に終わっています。

そんななか帝都典礼社長の荒井行雄氏の発言には我が目を疑いました。

(予備知識−帝都典礼さんは社葬に強いと言われている都内の葬儀屋さんです。ちなみに業界紙の記事によると(参考記事:稼いでいる葬儀屋さんはどこ?)4年連続売上高ジャスト30億円をキープしていることになっています)

恣意的に抜粋したと思われないよう、インタビューの後半三分の一全てを転記します。
(太字は筆者)
 「当社は正社員雇用が基本です。
お悔やみ事には365日24時間休みがない。遺族に寄り添うことが何よりも大切と考えれば、深夜に依頼を受けた者が翌朝に一睡も取れない状況であっても、一貫して担当することを原則としています。
最近は従業員を置かず、葬儀依頼があったときだけ外部人材を利用するような葬儀社が増えました。
当然ですがそれではノウハウの蓄積はない。
実際、社葬の失敗事例は増えているようで、準備段階で弊社に依頼替えがあるケースが少なくない。
このままでは業界のレベルが下がってしまう。
当社は今までのやり方を貫かなければ、新興の会社と同じになってしまいます。
亡くなった方への思いを大切にしたい」
荒井氏の眼光が、ひときわ鋭さを増したようだった。
この体質、本当だったのか・・・
労働基準監督署の皆さん、こっちです!!!

ドヤ顔みたいですが、大丈夫かなこの人?
正規雇用を重視するのはいいのですが
ウチの強みは長時間労働です、と言っているわけですよね?
一睡もしてなくても寝ずに働け、と。
リクナビ(就職サイト)の掲載情報によると泊まりの日は朝から出社みたいなので
泊まり明け以降も働け、ということになると30時間以上連続勤務になりますよね。

確かに私もよっぽどのことがない限り引継かず一貫して担当をしています。
・お会いした縁を大切にしたい
・非言語情報を含めると他のスタッフへの100%の引継ぎは不可能なのでリスクを最小化したい
・遺族が安心する
などがその理由です。
とはいえそれは自分自身に負荷がかかっても構わないから自主的にそうさせてくれと言ってやっていることです。
会社としてはちゃんと労働基準法遵守の範囲で、リスクを最小化しながら引継ぎを行うことを指導しています。当たり前ですよね。

でも帝都典礼さんは社長がこんなふうに広言しているわけですよ。
つまり実質的に従業員に対する命令ですよね。
社会全体で労働時間を短縮していこうという機運が盛り上がっているこの御時世に。
確かに腹の中で「時短なんてくそ食らえ、ワシの若い頃は・・・」と思っている経営者はいると思います。
しかし普通の感覚の経営者なら、(それも経済誌のインタビューで)広言しないですよね。
事前の原稿チェックがあったのかどうかは知りませんが、広報はマズイと思わなかったのでしょうか?
それとも社長がワンマンで逆らえない、とか。
他社の社長をつかまえてこんなことを言うのは申し訳ないのですが
経営思想のおかしさと、それを隠さない頭の悪さが際立っています。

おまけに社葬って密葬後に本葬を行ったり、合同葬形式の場合でも出席者のスケジュールを考慮したりして準備期間が長期化しますよね? 
それを「寝ずに働かせる!」ってむしろタスクの属人化によるリスクを増大化させています。
本来準備項目が多いので社葬の担当ってチームプレイのはずですよね。

もちろん以上のことから帝都典礼さんがブラックだとは断言できません。
ブラック企業の定義は労働環境が過酷かつ低賃金であることだと思いますので
仮に帝都典礼さんの従業員の平均年収が1千万円を越えるクラスであれば、ブラックとは言えないでしょう。 
そこまで行ってないというのが私の考えですが、実際給与明細を見たわけではありませんのでタイトルを「ブラックなのか?」と疑問形にさせていただきました。

ちなみに私は帝都典礼さんで働きたいとは思いません。上記のことに加えて
私は葬儀社の労働環境の良し悪しを女性正社員の多さで見るのですが、
その基準からいっても帝都典礼さんは違うなと考えているので。



<2017年03月04日>記載