今回もジャーナリスト鵜飼秀徳氏ネタです。

1冊目の著書の「寺院消滅」は良書でした。
しかし2冊目の「無葬社会」で、
ジャーナリズムよりもセンセーショナリズム(火葬場は10日待ちというデマを流す)に行ってしまったため、私も指摘し続けなくてはいけなくなっています。

恐怖訴求というマーケティング戦略なのでしょうが
一度メシの種にしちゃうと、軌道修正できないんでしょうね。

実は指摘し続けることに私は飽きているのですが
社会不安をあおるデマの火消しのために
少しでも鵜飼秀徳氏に反論する記事のボリュームを増やして、
バランスを取れるよう努めている状況です。

正直焼け石に水です。
だからといって黙認するのは葬儀業界の人間として責任の放棄だと思いますので
我慢して言い続けている次第です。
炎1
さて以下の記事、鵜飼氏の発言だけでなく他の箇所もおかしいので、
ライターによって鵜飼氏の発言が変えられている可能性もあります。
しかし掲載されている以上そのまま紹介します。

「昨年、母が亡くなった時、火葬が10日後になるといわれました。葬儀社が“ドライアイスを入れ替えても遺体の傷みを防ぐのは無理”というので、家に連れて帰るのは諦め、泣く泣く遺体を預けました。10日間も母を冷蔵庫みたいな場所で過ごさせるのは忍びなかった」(55歳・会社員)

普通の状況ではこうはなりません。考えられるのは
・この発言自体がウソ(週刊ポストと女性セブン系のサイト情報ですし)
・年末年始に最も混んでいる公営の葬儀「式場」(火葬場ではない)を使うことにこだわった
・葬儀屋が忙しかったので先延ばしするためにウソをついた
(そもそもドライアイスじゃ無理だからエンバーミング、なら分かるのですが、冷蔵庫で預かるって納棺+ドライアイスと比べてそこまで有効じゃないです。ドライアイス交換の人手も省きたかったのでは?)

ここで鵜飼氏がずっと言っている「火葬場10日待ち」発言がおかしいことを証明する証拠を出しておきます。
公益財団法人東京市町村自治調査会の首都圏の火葬場調査データです。
(このブログの読者の方から教えて頂きました。)
この資料の7ページ目。東京23区の場合、瑞江や臨海という安い公営火葬場以外は、稼働率5割前後に過ぎません。平成25年のデータなので現在もそう大きな変化はないはずです。
なぜ火葬を10日待つ必要があるのでしょうか?
確かに火葬場について長期的には対策が必要ですが、現在不安を煽る必要はありません。
「横浜市の火葬場では友引の受付を始めました。都内や名古屋市などの一部の斎場でも友引の運用を行なっています」(鵜飼氏)
始めました、って横浜市は少なくとも10年以上前から友引の火葬をやっているのですが。

早い時間帯の火葬しか予約できない場合、前日までに葬儀を済ませ、一晩遺体をどこかに安置してから火葬場に向かうことになる。
こんなことやる?
葬儀のあとさらに一日延ばしてどこかに遺体を移動するくらいなら
早朝から葬儀をやると思うのですが。

「葬儀場での葬式を省略し、火葬場でお別れをする“直葬”の増加が影響していると見る専門家もいます。葬式をしない分、会葬者が火葬場で時間をかけてお別れする傾向が強いのです」
炉前で棺に花を入れる人はいるかもしれませんが、直葬は同行者が少ないので、時間がかかるという傾向はありません。
よって火葬場が混み合う理由にはなっていません。

鵜飼氏は、よく知らないとは言えなくて、
聞きかじったことを適当に喋っているのでしょう。
ジャーナリストを名乗るならちゃんと足を使って現場を見てはいかがでしょうか? 

センセーショナリズムに陥ることなく
また「寺院消滅」のような本を書いてください。
これは叱咤激励です。


<2017年05月22日>記載