今回は
世間一般の方が信じている葬儀費用の金額は間違っている
という話です。
 
たぶん、一般の方のお葬式に関する質問で最も多いのが

「葬儀費用っていくら?」
 
だと思います。
 
そのためマスコミでよく葬儀費用に関する報道が行われるわけです。
その際に全国の葬儀費用のネタもとになっているのが
 
財団法人日本消費者協会の発表する
「葬儀についてのアンケート調査」

 です。
 
2007年に行われた葬儀についてのアンケート調査の結果が去年(2008年)の
「月間消費者8月号」および
第8回葬儀についてのアンケート調査報告書
の形で発表されました。

結果は・・・
全国の平均葬儀費用231万円
(寺へのお布施・火葬料金込み)
 
でもこの数字、間違ってます!
実際より高すぎ!

 
上場している葬儀社のレポートや自分の調査結果から考えても
葬儀屋さんの受け取り分で平均130万円ほど
お寺へのお布施を含めても180万円を超えていないはず
です。
↑注:この記事を書いた当時の数値です
 
なんでこんなに間違ってしまうのでしょうか?

ここからは
その理由を説明したいと思います。
 
間違っている理由は大きく分けて2つ
 
汽汽鵐廛螢鵐以法に問題がある
競汽鵐廛訖瑤少ない

 
からです。
 
この調査では葬儀費用を、
A葬儀費用全体(これが報道されている葬儀費用の総額、BとCとDで構成される)
B飲食費(料理屋さんに払う費用)
C寺院への御布施
D葬儀一式費用(葬儀屋さんに払う費用)
の項目に分けてアンケートの回答結果を表記しています。
 
まずアンケートの質問対象者を確認してみると
「ご家族に葬儀があった 」  人
に葬儀費用の金額を回答させています。
つまりこのアンケートでは、
葬儀費用を払った親族が「葬儀費用は○○円かかった」と言っていた、という
伝え聞いた情報も有効としているわけです。
 
葬儀費用がいくらかかったか?という質問に対しては
「施主=葬儀費用を実際に払った人」のみに回答させるべきではないでしょうか?
 
葬儀費用がいくらかかったのか、と施主が兄弟などの身内から聞かれるケースを想像してみてください。
施主は家長であり相続者であることが多いわけです。
普通、実際にかかった葬儀費用よりも多めの金額を答えるはずです。
なぜなら
「できるだけ亡くなった親のことを思って立派な葬儀を行ったのだ」
「土地や家は相続したけどそのかわり葬儀費用もかかったのだ」
とアピールする必要があるからです。
そのような精度の低い数字は鵜呑みにしてはいけません。
 
Aの葬儀費用総額の回答者は410名なのに、
個別のBCDの項目の回答者は大体150名前後です。
BCDの正確な金額を回答することは、
実際に葬儀費用を払った人(=施主)でなければ不可能です。
なぜなら請求書の個別明細を実際に持っている人でないと答えられないからです。
逆に言えば410人中から150人を引いた
260人(つまり回答者の6割以上!)が伝聞で不確かで
実際よりも高い葬儀費用をアンケート用紙に書き込んでいる可能性が高い
わけです。
 
商品を買ったことのない人に購入価格を答えさせる調査なんて、
ありえません。

 日本消費者協会

上記の内容を踏まえながら
Dの項目の回答者数(つまり本当に葬儀費用を払ったと思われる人数)を見てみると、
中国地方は4名、関東近県(茨城栃木群馬千葉)では7名でした。
一体これらの地域で年間何件の葬儀が行われているか考えてみてください。
日本全国で去年は約115万件の葬儀が行われました。
ちなみに2003年のアンケートの近畿地方のDの項目の回答者は1人でした(-_-)
こんなに少ないサンプル数の統計が信じられるでしょうか?
 
以上のことから
日本消費者協会のアンケートは
サンプリング方法とサンプル数に問題がある、
ということがお分かりいただけましたでしょうか。

ここまでお読みいただきまして
ありがとうございます
<(_ _)>でも、もう少し続きます・・・

ここからは日本消費者協会の「姿勢」についてお話ししたいと思います。
 
これまで述べてきた問題には
日本消費者協会も気づいているはずです。

統計資料の説明文中に
「アンケートの回答者がそれぞれの費用を正確に把握出来る立場の人ばかりではないため」
「限られたデータでの単純な平均額であるので、
数値のみにとらわれることがないよう留意されたい」
等の表現が見られます。
葬儀費用総額の全国平均は231万円ですと具体的な(間違った)数字を言っておきながら、
「数値のみにとらわれることがないよう」
というのは無理がありませんか。
だったら最初から金額など発表しなければいいんですよね。
 
このレベルのレポートを民間で働いている私が提出したら仕事が無くなります(^^;)
 
深刻な問題は
この日本消費者協会の間違った数字が
頻繁にマスコミで使われ、
葬儀の平均費用として世間で認知されてきた

ことです。

そして少なくとも次回の調査が行われる4年後まで、
この状況は続きます。
日本消費者協会HPにアップされている年間予定には、
「葬儀についてのアンケートはマスコミにも好評」
と書かれてます。
マスコミに良く取り上げられているという自覚があるんですよね。
困ったものです。

そして誤った葬儀費用の数字だけが一人歩きした結果
消費者にとっては
葬儀費用に対する予想金額は高めに設定され
葬儀費用を払いすぎる結果になり

葬儀社にとっては、
葬儀社は不当に儲け続けていると
世間から言われ続ける弊害
を生むわけです。

日本消費者協会は消費者宣言で述べているように、
「正しい商品選択のための情報を消費者に提供する」
という理念に従ってください。
 
そして何より、
一般の消費者の方は、だまされないでください。
「当社は葬儀費用の全国平均価格よりも安くお葬儀ができます」
というような、葬儀社の宣伝文句を信じてはダメですよ。
葬儀費用の全国平均値がまちがっているんですから。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
<(__)>

追記
2010年に行われた「第9回葬儀についてのアンケート調査」については、
はるさんのブログにくわしく述べられていますので、
こちらを参考にされることをおすすめします。


<2009年03月01日>記載