今回は直葬とは何か、直葬をするときのコツと注意点
そして直葬に対する私の考えを述べてみたいと思います。
 
最近のお葬式に関する報道を見ていると
「直葬(ちょくそう)」という言葉が使われる機会が増えてきています。

 「宗教儀式を行わず身内のみで火葬だけを行う」のが
直葬です。
(たまに「直送」という表記を見かけますが、これは間違い。)
  
日本の場合、直葬を選ぶ理由は
1番目は経済的事情(お金がない)
2番目は宗教観の変化(特に信仰がない)
3番目は人間関係の希薄化(参列者がいない)
が挙げられると思います。
(直葬は深く語り出すと、未来の日本の社会論、にまで発展可能なテーマなんです)
 
1番目の経済的事情についてですが
都市部で小規模な普通の仏式の葬儀を行っても100万円はかかってしまいます。
これを直葬にすれば30万円(火葬料込み)くらいで、
よく葬儀社を吟味すれば20万円以内
 (火葬料込み) で執り行うことが可能です。
たまに50万円で直葬ができます、という葬儀業者がいますが、高すぎです。

 それからお寺にお墓を持っている方は注意してください。
お寺の許可がなく勝手に直葬してしまうと、あとあとお墓に納骨させてもらえないこともあります。
宗教儀式を行わないことはけしからん、というわけです。
事前にお寺に相談しましょう。

次は、火葬のみ、つまり直葬でも霊安室は大事、という話です。
 亡くなるとすぐに病院から火葬場に直行して火葬されると考えている方もいますが、
法定伝染病でもない限り、死後24時間以内の火葬はできません
 
ということは、どこかご遺体を預かる場所、つまり霊安室が必要です。

 通常亡くなってから丸一日、
病院にご遺体を預かってもらうというのは難しいと思います。

 自宅で安置できるなら問題はないのですが、
特に都市部にお住まいの方だとスペースの問題があるでしょう。
 
自宅での安置が不可能な場合は、火葬場の霊安室に安置するという方法があります。
(有料の場合がほとんどです)
この際はお棺にご遺体を納めた状態で安置します。
しかし問題があります。夜間の安置の受け入れをしてもらえなかったり、
そもそも霊安室が無い火葬場も多いのです。
(横浜市の横浜北部斎場は震災時の火葬に備えて石油の備蓄施設を持っているくせに、
肝心の霊安室が無い!横浜市の火葬場はなぜ霊安室を持たないのでしょうか?)
 
次の選択肢は葬儀屋さんの持つ霊安室を使う方法でしょう。
この霊安室も葬儀屋さんによって、費用や環境のレベルはいろいろあります。

 最後は裏技です。
もし亡くなったのが大きな病院なら、ご遺体保冷用の保冷庫を持っていることがあります。
ダメでもともとで看護師さんに「明日まで病院に安置 できませんか?」と
交渉してみるのも良いかもしれません。
または病院が複数の霊安室を持っていれば、
1日くらいなら貸してくれるかもしれません。
そのとき はドライアイスを葬儀屋さんに当ててもらいましょう。 
上記の方法なら遺体安置場所の費用と遺体安置場所への移動費用が浮く可能性があります。
ただし前述したようにほとんどの病院は亡くなるとすぐにご遺体の移動を遺族に要請することを覚悟してください

 
それから直葬は宗教儀式をしないと言いましたが、
葬儀屋さんに依頼すれば、お寺さんを呼んで火葬炉の前でお経を読んでもらうこともできます。
(すでに書いているように、菩提寺がいないことが前提です)
このときのお布施は5〜3万円くらいでしょうか。
全く 何も 宗教儀式をしないのは抵抗があるという方におすすめです。

 また直葬でも葬儀屋さんの質の違いが如実に出ます。 
むしろ式場や装飾というハードを省いている分、その担当者の人となり、
つまりソフト面が直葬の場合重要であると思います。
大切な故人の最期を任せるのです。

ただ安いからという理由だけで葬儀社を選んでしまって不愉快な思いをしないよう、
直葬の場合も葬儀屋さん選びは慎重にお願いします。
葬儀屋さんの選び方は
こちら本当に役に立つ葬儀社の選び方(短時間&価格重視編) を
参考にしてください。


 追記

 「直葬」の読み方は「ちょくそう」OR「じきそう」?

 直葬を「じきそう」って呼んでいるサイトもありますね。
でも、この直葬って言葉を使い出したとおっしゃっている表現社(葬儀業界向け出版社)の碑文谷(ひもんや)さんが
「ちょくそう」と呼んでいるのでここでは「ちょくそう」が正解とします。
 
たしかソシュール(哲学者・言語学者)が言っていたと思いますが、
物や観念は名前を付けられると同時に存在し定義付けされ定着します。
 
昔であったら、
なんかエロ上司の発言が不愉快だなという漠然とした観念だったものが、
セクシャルハラスメントという名前を付けられたとたん、
その行為が違法であり、反社会的行為として扱われるようになったように。
 
直葬も同じで名前を付けられたとたんに、
「ああ、そういう方法もあるんだ」
と世間一般に認識され、広まりつつあるのだと思います。
 
多分碑文谷さんはアメリカの
DIRECT CREMATION
を直訳されたのだと思います。
しかし火葬の研究者の方に伺ったところによると、
アメリカの DIRECT CREMATION と日本の直葬とは少し事情が異なるとのこと。
 
アメリカの場合は、遺体という抜け殻を処分するという考えで、お骨も遺族が持ち帰ることもなく、
言葉は悪いですが廃棄処分的な扱いだそうです。
これは亡くなったら体は単なる抜け殻という宗教観と、
死んだ後はお金を残さないアメリカ人の人生プラン(家を担保に借金をして自分が死んだら家も処分のような)が関係しているのではないでしょうか。


 
さらに追記

上記の直葬の記事の内容に関して碑文谷さんご本人からご指摘のメールを頂戴いたしました。
承諾をいただきましたので、一部を転記させていただきます。
(転記はじめ)
 「直葬」について一言。
私が社会化した最初ということで実態はその前からありました。
無視できなくなったので、
というのは昔の生活保護での葬儀等とは明らかに異なると判断したので社会化したものです。
direct cremationは後から知りましたので、それを訳したというのは事実と異なります。

火葬研究者の話が紹介されていますが、
アメリカというのはかなりいろいろな考え方の人たちの集合です。
ブッシュのアメリカもあればオバマのアメリカもあるわけで。
立場によって評価はガラリと異なるのです。
その方の考えを否定しませんが、ある立場での評価です。
アメリカで最近火葬が急激に増加しているのはご存知だと思います。
それは一つの考え方が支持されたわけではないのです。
60年代のカトリックのバチカン公会議による火葬解禁が拍車をかけたことは事実でしょう。
アメリカはどちらかと言えばプロテスタントの国ですが、保守もまたプロテスタントです。
でも、こうした細かい話はよいのです。

ブログを興味深く読ませていただきました。
(転記終わり)
転記させていただいた文章の前後で、
このブログへの賛辞と励ましのお言葉を頂戴しました。
ありがとうございました。


<2009年03月06日>記載