「ご愁傷様(ごしゅうしょうさま)」の意味と正しい使い方を説明します。
また葬儀の現場の経験を元に
実際お葬式ではどのように
「ご愁傷様」が
使われているのか
についても解説しています。

まず「ご愁傷様」という言葉の意味と使い方について。

「愁(しゅう)」という言葉は「愁(うれ)える」とも読み、
悲しく思うという意味です。

さらに「愁傷」となると「(心の)傷をうれえる」ということになり
その傷が自分の傷なら「嘆き悲しむ」という意味,
相手の傷なら「気の毒に思う」という意味になります。

そして「御〜様」という言い方は
頭と末尾にそれぞれ敬意を表す語がくっついており
本来は「御殿様(おとのさま)」というように
最上級の敬意を表す意味がありました。

それが近世以降、「御馳走様、お疲れ様」のように
ねぎらいや気遣いを表すようになり
(そうなった理由に関しては「宅間弘太郎1999」を参照)

それが「愁傷」に使われた結果、現在では

ご愁傷様・・・
1 相手を気の毒に思うさま。身内を失った人に対するお悔やみの語。
「このたびはご愁傷様でございます」

さらに1の意味が転じて

2  気の毒に思う気持ちを、軽いからかいの意を含めていう語。
「休日にも出勤とはご愁傷様」
(大辞泉より)

という使われ方もするようになりました。

菅直人氏が首相の就任の際、菅氏の奥さんが
「おめでたいと言っていいのかどうか。逆に、ご愁傷さまかもしれませんよ」
と発言していましたが、これは当然2の意味。
運が悪かったね、というニュアンスで使われています。

葬儀屋である私は2の意味で「ご愁傷様です」を使うことは、絶対にないです。
私の職業上、この「ご愁傷様」の使い方は不謹慎だと思っているので。

しかし一方で、最近の若い人の中には2の「ご愁傷様」の使い方しか知らないため、
お葬式の場で、1の「ご愁傷様」という言葉を使うことを、
(厳粛なお葬儀の場で、友達同士のからかいの言葉を使うという意味で)
逆に不謹慎だと、間違って捉える人もいるそうです。

言葉って難しいですね。
線香
さて
一般の方が、葬儀に参列した際の
「(このたびは)ご愁傷様でございます」
という言葉の使い方についてです。

お葬式の場に、ほとんどの方は慣れていません。

そんな、何を言っていいか分からないときに
「ご愁傷さまでございます」
という日常的ではない言葉を使うことによって、
過不足なく自分の気持ち(弔意)を伝えることができるのです。
そしてこの言葉によって遺族だけではなく参列者も救われるのだと思います。
ある意味、「ご愁傷さま」というのは
代々受け継がれてきた葬儀における智恵の言葉だと言えるでしょう。

ただ
遺族のことを思うあまり、ご愁傷さまという言葉が凡庸(ぼんよう)すぎる
と思う方もいらっしゃると思います。
そして、そんな人は遺族を何か元気づけることができる気の利いた言葉を
必死で探そうとします。

その結果、「元気出してね」という禁句を、言ってしまうのです。
グリーフケア(悲しみに暮れる遺族に対するサポートのこと)の考え方では、
遺族に元気を出せというのは禁句です。
(参照ページ:「お葬式で使ってはいけない言葉」も、併せてお読みください)

そもそも、口にしただけで遺族の悲しみを取り去ることのできる都合の良い「魔法の言葉」というのはない、と考えた方がよいでしょう。

厳しい言い方をするのなら
「何か自分の発する気の利いた言葉で遺族を元気づけたい」という気持ちは、
遺族の苦しみを和らげることができない自分の苦しい立場を抜け出したい、
という自分勝手なわがままだとは言えないでしょうか。

だからお葬式の時は
「ご愁傷様でございます」
という過不足のない一言でよいのだと思います。
(「この度はご愁傷様です」よりも「ご愁傷様でございます」という言い方がよいでしょう)

また「哀悼の意を表します」は弔電のなかでしか使えませんが、
一方で「ご愁傷様でございます」は遺族の会話の中でしか使えません。
間違えて「ご愁傷様でございます」を弔電の文章の中で使わないようにしてください。

以上がお葬式へ参列される方への
「ご愁傷さま」の使い方のアドバイスです。

ちなみに「ご愁傷さまです」と言われた遺族や葬儀の受付の方の返事の仕方ですが
「お心遣(づか)いありがとうございます」
で良いと思います。
リン
さてここまでいろいろ申し上げてなんなのですが
葬儀屋である自分はまたちょっと違うことを考えたりするのです。

実は遺族の方に向かって「ご愁傷様でございます」という言葉を、葬儀屋さんである私は使いません。

なぜなら「ご愁傷様でございます」と口に出したとたん、
自分の伝えたい気持ちが変質してしまうような気がして、自分と遺族の間に生み出された空気に違和感を覚えてしまうからです。

葬儀屋さんと遺族の距離感は、
他のサービス業のお客様との距離感とはちょっと違うです。
お互いの感情が触れ合うくらいまで近づくことがあるのです。
仕事上で自分の親ぐらいの年齢の依頼者に泣かれる状況ってそうそうないでしょう。
そんな感情が接近する関係の中で発する
「ご愁傷様」
って言葉は自分の中でどこかウソっぽく響いてしまうのです。

ご愁傷様って言葉は、
どちらかというと「公」の関係性の中で成立する言葉のような気がします。
葬儀という場では、葬儀屋である自分と遺族との関係性の中で
「公」よりももう少し「私」の方に踏み込まなければいけない、と思うときがあるのです。
(かといって一緒に泣くというわけではありません。
参照ページ:お葬式では泣かない

だから「ご愁傷様」という日常的ではない「公」の言葉は、
遺族のためにがんばる、
遺族との関係性の中であがく、
っていう自分の気持ちとうまくリンクしていないような気がするのです。

上手く伝えられなくてすいません。<(_ _)>

でも、この文章読んでくれた、
言葉というものに繊細な注意を払っている葬儀屋さんの100人に1人ぐらいは
「うんうん分かる」と言ってくれると信じてるんですけども・・・

(追記)2016年8月21日
この記事を書いたのは2009年なのですが、それ以降この記事の内容がネット上で何度も盗作にあってちょっと頭にきています(笑)
似たような内容の「ご愁傷様」の文章を見かけたら、オリジナルは私の記事ですので。
念のため。

(追記)2017年5月24日
先日テレビのバラエティ番組を見ていたら
『悲しみを表すために受付では「ご愁傷様でございます」をわざと聞こえないように言う』という誤った情報を流していました。こんなウソ流して大丈夫かなって思っていたら、後日案の定お葬式でやっている人を見ました。これはテレビが流した嘘ですので信用してはいけません。ちゃんとはっきり「ご愁傷様でございます」と言いましょう。


関連ページ
弔電の安くて効果的な送り方を葬儀屋さんが教えます
「ご冥福を祈る」の意味と正しい使い方
・ 「お悔やみ申し上げます」の意味と正しい使い方 
「哀悼の意を表します」の意味と正しい使い方
お葬式で使ってはいけない言葉
葬儀の挨拶について
・通夜の時間ついて
・弔辞について



<2009年03月19日>記載